パッと見は同じような木目でも、何かが違う。触れたときの感触、引き出しを開けたときの香り、そして空間に漂う重厚感。それは、写真や画面越しには伝わりにくい、本物の木だけがもつ力です。
プリントの木目では真似しにくい天然木家具の魅力を、五感をテーマにお話しします。
01MATERIAL
最近はプリント技術が進化し、一見すると本物の木のように見える家具も増えています。木目の家具の表面は、大きく次の3つに分けられます。
SOLID
一本の木から切り出した板をそのまま使ったもの。木の質感や重みをいちばん感じられます。
VENEER
本物の木を薄くスライスし、芯材に貼ったもの。表面は天然木で、反りや割れが起きにくいのが特長です。
木目を印刷したシートを板に貼ったもの。手頃で扱いやすい反面、同じ柄がくり返し現れます。
天然木は自然の産物なので、同じ木目はこの世にふたつとありません。この不均一さこそが、安らぎと高級感を生み出す源なのです。
02TOUCH
天然木は熱を伝えにくい素材なので、触れたときにひんやりとしにくく、ほんのりとした温かみを感じられます。木目のわずかな凹凸も、プリントにはない心地よい手ざわりです。
手彫りの彫刻が施された家具なら、指でなぞると、ひと彫りひと彫りの力強さと繊細さが伝わってきます。毎日触れるものだからこそ、この「手ざわり」の違いが、暮らしの満足感につながります。
03LOOK
表面が均一なプリントの家具は、光が当たると一様に照り返しがち。一方、天然木は木目の奥行きによって、内側からにじみ出るような深い艶が感じられます。
とくにマホガニーは、見る角度や光の当たり方によって、リボン杢(もく)と呼ばれる縞模様の輝きが変化するのが魅力。朝の自然光、夜のランプの灯り。時間によって表情を変える家具は、ただそこにあるだけで、見る人を飽きさせません。
04AGING
プリント化粧板の家具は、傷や剥がれができると下地が見えてしまい、補修が難しいことがあります。一方、天然木の家具は、使い込むほどに色が深まり、艶が増していく経年変化を楽しめます。
たとえ傷がついても、それは家族と過ごした時間の証。お手入れをしながら長く使い続けることで、新品のときとはまた違う、味わい深い家具へと育っていきます。
※天然木の経年変化とお手入れは、Vol.129 無垢材テーブルの経年変化を楽しむでもご紹介しています。
05SUMMARY
本物を知ることは、暮らしを豊かにすること。見て、触れて、育てていく楽しみは、天然木の家具ならではです。家具を選ぶときは、写真だけでなく素材の表記もチェックして、あなたの五感を満たす一台との出会いを楽しんでください。
※木の質感が写真にどう映るかは、Vol.142 家具は「背景」であるでもご紹介しています。